「土人形」の魅力と、お琴の上達につながる一曲

「土人形」は、お琴でよく使う向こう指(人差し指・中指をかくように弾く奏法)が多く出てきます。

この二本の指をしっかり使えるようになると、多くの曲がぐんと弾きやすくなると思います。

また、グリッサンドのように一の糸から端まで弾き、また戻るところもあります。初心者の方は、どうしても撫でるような弾き方になりがちですが、一音一音をしっかり弾くように指導すると、お琴を弾くための大切な基礎が身についていきます。

おさらい会に向けて半年間、一音一音を丁寧に練習された生徒さんは、実力がしっかりつき、今では大変難しい「夢の輪」に挑戦されています。

「土人形」は初心者には少し手数が多く、少し難しい曲ですが、その分「弾けた!」という喜びを味わえる一曲でもあります。

合奏では古風な雰囲気があり、テンポよく弾く躍動感のある場面と、しっとりとした美しい旋律との対比も魅力です。動と静の表情があり、弾いていてとても味わい深い曲です。

私は、この曲を弾いていると、職人さんが美しい土人形に繊細な模様を描いている情景が浮かびます。一方、生徒さんは「職人さんが力強く土を練り、人形を作っている様子が浮かびます」と話してくださいました。

同じ曲でも、思い浮かべる景色は人それぞれです。そんなふうに、それぞれの感性を大切にしながら演奏できるのも、お琴の魅力ではないでしょうか。

以前、別の生徒さんも「土人形の古風な雰囲気が大好きです」とおっしゃっていました。

このような魅力があるからこそ、「土人形」は今も多くの箏愛好家に親しまれ、長く愛され続けている名曲なのだと思います。